3年ぶりの「渋茶」再開です:「オバマは黒人ではありません」というお話
2008年6月5日現在にアメリカ民主党の大統領候補指名を勝ち取ったばかりのバラク・オバマ(Barack Obama)上院議員は「初の黒人大統領候補」、「初のアフリカ系大統領候補」として話題を集めています。
しかし、良く知られているようにオバマは父親がケニヤ人、そして母親がカンザス州出身のイギリス系白人です。
半分がケニヤ人、そして半分が白人ですから、本人は「黒人系」であると同時に「白人系」でもある訳です。また、「アフリカ系」でもあるのと同様の割合で「イギリス系」でもあります。
それでも尚、「初の黒人系、初のアフリカ系」ばかりが強調されるのもおかしな話です。
オバマを指して「イギリス系候補、白人系候補」と呼んでいるのを耳にしたことがないのも奇妙です。
黒人の血筋ばかりが強調されて、体の中に半分流れているカンザスの白人の血は無視されています。
あからさまに言えば、「お前のお母さんは白人かもしれないけれど、それでもお前は黒人だよ」ということに他なりません。
実はアメリカには「one drop rule」と呼ばれる実にくだらない尺度が昔からあります。
「血の一滴ルール」です。これ、平たく言えば「黒人の血が一滴でも混じっていたらお前は黒人」という人種差別の根幹となっている古くさく非科学的なルールです。
この「ワンドロップルール」が今でも健在ですから、アメリカの国勢調査には「黒人、白人、アジア系、アメリカインディアン、ヒスパニック」などという「君、白人でなかったらちゃんと申告してね」みたいな馬鹿な記入欄があります。
人類は程度の差こそあれ、100%混血ですから、この分類は無意味なものと言えます。「純粋の白人、純粋の日本人、純粋の黒人」云々は存在しません。
それでも尚、「純粋なアーリア人」を夢想したヒットラーに心酔した愚かなドイツの大衆、またまだそれと同じようなくだらない世迷い言を信奉しているネオナチの類が昔から今に至るまで続々と登場するのも困ったものです。
相も変わらず「黒人初の大統領候補、アフリカ系初の大統領候補」などと間抜けにはやし立てているマスコミ人の目出度さは、人々の意識の底に潜んでいる無知と偏見をそのまま映しだしている鏡であると言えます。
アメリカの報道も日本の報道もこの点に関しては同罪です。正気か、まったく。
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