「アメリカ人なんか文法を知らない」?:おいおい、そんなこたあ、ありません

よく聞くでしょ?「なーに、アメリカ人なんか文法知らないよ、日本の高校の授業でみっちり文法をやった俺たちとは違って」みたいな言い草。これ、とんだ思い違いです。

読み書き、話し方において、英語を母国語とする人間が「非文法的」な過ちを犯すことは皆無です。もちろん「標準的英語」とのある程度の乖離はあります。そして、そのような場合においても、たいていの場合は、それを承知の上で話しているんです。

くだけた場では、それなりの話し方をしますし、同じ人物でも、書類を書く段になればキチンと書くのです。「He don't know nothing:彼は何も知らない」というような言い回しを考えてみましょう。これは、「He」が主語なのに「doesn't」ではなくて「don't」と続きますから、学校英語ではペケです。そして、「don't」で否定しておいてから「nothing」で二重否定を掛けている訳ですから、理屈の上からは肯定になってしまい、意味が逆さまになるはずです。

ただし、これにはこれなりの「文法」の下敷きがあって、それに寸分も違反していないのです。まず、「He don't」は容認された形なのです。ただし、「I doesn't」とは決してなりません。また、「He isn't know .....」も容認されません。

後半の二重否定ですが、強調のために二重否定である、ということは暗黙の了解です。同一人物が公式の場で話す時、そして文章を書く場合などはきちんと「anything」をもってきます。

同様に、非文法的な「X She can't singing」あるいは、「X Let's dancing」「X They are difference」などという言い方は、読み書きのできない与太者でさえ決してしません。

すなわち、複数の文法のセットを状況によって「使い分け」ているのです。決して「文法を知らない」訳ではありません。

第一、日本の学校英語でこねくりまわすようなクダラない時代遅れの「学校英文法」なんかの助けを借りなくても、きちんと英語を使っているんです、どこでも。

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