単なる「反復演習」で発音はきれいになりません

英語の発音を上達させるための色々な教材があります。

「聞き流すだけの英語」とか「繰り返し音読する方法」とか実に様々です。

しかし、単なる「反復演習」では英語の発音は上手にもきれいにも、ましてや「ネイティブ並み」には決してなりません。

その理由は簡単です。「繰り返して言ってみる」の段階で英語音ではない日本語音に置き換えた英語を口にしているからなのです。

大方の発音教材ではネイティブの発音した教材を聞き取ることから始まります。この時点でおかしなところはどこにもありません。

問題は、この次の段階です。「ネイティブの発音を聞き取る」時にその英語音を頭の中で日本語音に「変換」して聞いてしまっているのです。

すなわち、こんな風な作業になってしまっている訳なんですね。

これでは何千回何万回と繰り返して稽古しても発音の上達にはつながりません。

ただし9歳以下の子供の場合は、頭が柔軟で母国語以外の音も素直に受け入れるのでネイティブの発音を短期間で身につけてバイリンガルになっていきます。

大人の場合には、個人差はあるものの、認識できる音が母国語で使われている音だけに限られがちです。

英語を聞いてもそれが日本語に聞こえてしまう「空耳アワー」現象の原因がここにあります。

これ、個人レベルでは「空耳アワー症状」なんですが、厄介なことに自覚症状を伴いません。

英語音が耳から入ってきても、それを自動的に日本語音に変換して聞き取ってしまっている訳です。

成人が正しい発音を習得しようとする際には、英語音を脳味噌が勝手に「日本語変換」してしまう手前にストップをかけて、英語音を認識させる指導が必要となります。そして実際に自分でその音を出すことを練習させます。

このようにしてきちんと英語音となったものを反復演習すれば英語発音は上達します。

困ったことに、きちんと英語音を出せている日本人の英語教師は少数です。

さらに困ったことに、英語圏からやってきたネイティヴの教師が1人1人の生徒の発音を細かく指導することは面倒臭くもあり、「ま、何か英語で発言してくれれば、発音は適当でいいか」くらいの 指導で済ませてしまいがちです。

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