マイケル・ケーンとアメリカ英語
|
1966年のヒット映画アルフィー(Alfie)で一躍有名になったイギリスを代表する名優です。 この人の出演した2003年の映画に「Secondhand Lions」という作品があります。舞台はテキサス、引退した偏屈な老人を好演しています。 特筆するべきは、「Secondhand Lions」でマイケル・ケーンは何と一貫してアメリカ英語でセリフを通しているのです。テキサス訛りというよりは少々東部の南部訛りに偏った英語になってはいますけれども立派なアメリカ英語で、彼特有のイギリス英語の片鱗さえ感じさせません。見事な化け方です。 これで分かるように英語圏の人にとって、そして特に俳優という職業に就いている人達にとって、イギリス英語、アメリカ英語などを使い分けることはさほど難しいことではありません。 ニューヨーク生まれ、オーストラリア育ちのメル・ギブソン(Mel Gibson)なども当然の事ながら訛りの使い分けが達者です。ブラッド・ピット(Brad Pitt )も役に合わせて巧妙に語り口を変えます。 イギリス英語、アメリカ英語の使い分けが可能なのは、英語圏の英語が身に付いている限りは「英語の音」を自分のものとしてもっているからです。「イギリス英語のこの音はアメリカ英語のこの音に相当する」という置き換え作業を正確にすることができるのです。 ただし日本語が母国語である場合、やれ「イギリス英語」だ「アメリカ英語」と言ってみたところで、どちらの発音にも含まれない日本語音で英語音の代用をさせているので、本人の意図するところとはかけ離れた「日本英語」を話しているだけのことが多いようです。 世間で取り沙汰されている程にはアメリカ英語とイギリス英語で大きな違いはありません。昔は「中立に近い」ということでカナダ出身のアナウンサーが大勢アメリカで活躍していたという話もあります。 |